Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

二

客はながし目に見ていた。ここの侍女に不美人はいないとよく人はいうが、なるほどと頷いているかのようにである。

「……さて、表の客も、長座な客。たれであろう?」

すこし猜疑ぶかい目をした。細めると、まつ毛の陰に針のようなものが光る。

このひとのことを、世評では名家老といっている。藤井紋太夫、あれがいればこそ、水戸家の財政は、光圀があんなに費いちらしても持ちこたえているのであると、もっぱらその功を紋太夫の手腕に帰していた。

二

武家やしきには、ひとつの剛壮な様式があるが、ここの廻廊に立つと、多分に京風が加味されてある。

廻廊に欄のあるのがそうだし、銅燈籠の懸け連ねてあるのも優美に過ぎる。わけてその廊を奥へ行く美人、退がって来る美人――何かを捧げ持って――燈影の下を楚々と通う女性たちの色やにおいにそれが濃い。

主人吉保の好みであろう。

夕方から数寄屋のほうには、ぽつねんとひとりの客――水戸家の藤井紋太夫が来て待っているというのに――ここの客書院では、興も酣で、べつな客と主のわらい声が大どかにながれ、数寄屋の孤客にはいつ目通りを与えるのやら、気にとめているふうもなかった。