Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

二

「ではさっそくお城下の葛屋から取りよせておかせましょう」

「いやいや、自身で求めに出向こう。ここ久しく、城下にも出ぬ。ほかに用事もあるし、そちたちも供するがよい」

老公はもう歩き出している。畑は西山荘の前なので、百歩にして、そこの門までもどれる。

門といってもかたちばかりのもので、住居の屋根は茅ぶき、柱の多くは皮つきの杉丸太、竹の縁、粗土の壁、庄屋の家ほどもなかった。

「これよ、誰ぞおらぬか」

土間へはいって、中櫺子の下の水瓶から水を汲み出し、手足の泥を洗いなどしながら、老公はふり向いていた。

西山荘の主といえば、いうまでもなく、水戸家のご隠居、さきの権中納言光圀とは、この人のはずである。

二

誰ぞおらぬか――と呼ぶ老公の声をきくと、うす暗い厨の土間の片すみから、むくと身をひるがえして、公のそばへ馳せて来たものがある。

「おまえではない。おまえではない」

公は、左右の手をさしのべて、二頭の鹿の頭をたたいた。

西山荘には、十頭たらずの鹿がいた。みなよく家人に馴れている。老公は鹿につきまとわれながら、御物置とよぶ小屋のなかに、鍬をしまい野良着をぬぎ外して、その隣りの三畳間にはいった。