Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

「いかがいたした?」

「は」

「顔いろが悪いのではないか」

「実は、両三日前からちと、風邪をこじらしました気味で」

「それは生憎な……。さだめし体も気懶かろう。では、手短に申すとして」

と、白髯の先が、膝がしらに触れるほど、やや身を前に折りかがめて、

「世捨て人にもひとしい隠居ながら、さて、後々の愚痴は捨て難きもの。それにつけ、何かとそちの事は思い出しておるぞ。主従は三世というが、さて、わしと、そちとも、久しいのう」

「……はい。夢のまに」

「三十年。いや、もっとになろうわえ。そちは、幾歳になった。光圀もはや……」

こよいそも、何をいおうとする老公なのか。紋太夫はそれのみ怖れて、耳は熱して口は渇いた。夜も静か、老公の声もいと穏やかなのに、ひとり胸の中で七顛八倒していた。

十九

影を描いてひとり影に恐怖しているのである。蒼白なかれの面には、あぶら汗がにじみ出ていた。

けれど、老公のことばは、依然、平常と変りはなかった。いや、常よりも沁々として情味さえこもっていた。

「――いわずとも、その方とて、よく心得ておろうが、譜代の臣も多い中で、そちほど、光圀が一存にて、思い切って登用して来た家臣はない。