Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lisez 三国志(三) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 312 452 caractères · 628 écrans
留恋の私情と、裁く者の法人的な意思とが今、しきりと彼の心のうちで闘っていた。――陳宮はその顔いろを察して、
「無用な問いはもう止め給え。願わくは、速やかに軍法にてらして、陳宮に誅刀を加えられよ。――これ以上、生くるは辱のみだ」
云い捨てて、決然とそこから起ち上がった。そして、階下の一方にうずくまっている捕虜の呂布へ、冷然と一眄を与えると、自身、白門楼の長い石段を降って、――下なる首の座に坐った。
その後ろ姿に、
「ああ――」
と、曹操は、階上の廊に立ち上がって、しきりと涙をながしていた。諸人もみな伸び上がって、白門楼下の刑場を見まもった。
陳宮は、死の莚にすわって、黙然と首をのべていたが、ふと、薄曇りの空を啼き渡る二、三羽の鴻の影に面をあげて、静かに、刑吏の戟を振り向き、
「もう、よろしいか」と、あべこべに促した。
一閃の刑刀は下った。
頸骨が戛と鳴って、噴血の下、首は四尺も飛んだ。
曹操は、さっと酒の醒めたように、
「次は、呂布の番だ。呂布を成敗しろ!」と命を下した。すると呂布は急に、大声でわめきだした。
「丞相、曹丞相。もう閣下の患とする呂布はかくの如く、降伏して、除かれているではないか。