Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans

Aozora Bunko

「いいよ、源吉、やってくれ」

「どっちへです」

「吉原へさ」

お次は、聞えないような、顔をした。

源吉は、わざと、

「いいんですか、お次さん」

「そんな野暮ではないよ。なあ、お次さん」

左右太が代って、答えてしまった。

初夏の夜の川風になぶられながら、猪牙舟は晩く、山谷堀へついた。

三人は、遊廓を一まわりして、引手茶屋の巴屋へ揚がった。

「ま。おめずらしい」

と、茶屋の内儀は、左右太を知っていた。お次は、身のおき場がないように坐っていた。

「もう、桜も散ったな」

「ごぶさたでござんすこと。やがて、仲の町は、菖蒲でございますよ。その節は、おわすれなく」

「こん夜は、上総の身寄りの娘が来たので、見物につれて来た。……が、しらふで帰るのも曲がない、何かで、一杯もらいたいな」

かろく飲んで、時刻をはかり、帰りがけに、

「おかみ。堀の辺で、何か、朝めしを、おつに喰わせる家はないか」

「茶漬屋はいかがです。流行っているようですよ」

「ふりの客でもいいのか。……ちょっと、ひと筆、巴屋からとして書いてもらいたいな」

「おやすいこと」と、おかみは、客の送り文を書いて、源吉にあずけた。

猪牙舟が、堀へもどって来たのは、まだ夜明け前で、いくら朝帰りの客にしても、ちと早すぎるきらいがあった。