Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
「この事、てまえからお奉行のお耳に入れたと、義平太に、申したものでしょうか。また、つつんでおいたがよろしゅうございましょうか」
「かくさぬがいい。しかし、義平太の苦衷はうれしい。察しられる。すまぬのう……各に、かような思いをさせて」
ばたばたと、中庭の方から、前のふたりが、馳けもどって来た。
「お奉行。ちと、変です」
「どうしたっ?」
「亀次郎が、余りに、狂い廻ったせいか、突然、牢のうちで、仆れました」
「なに、絶命したか」
「いえいえ。一時の、発作とはおもわれますが、苦しげに、口に泡をふき、眼をつりあげ、顔色蒼白となって、転々と、もがき抜いている有様。いつもの、容体ともおもわれません」
「獄医を呼んだか」
「牢屋づきの中根杏庵が、折わるく、きょうは自宅にもおりません。どこやらの病人を、遠くまで、診に行ったとかで」
「万一があってはならぬ――」越前は、すぐ立って、中庭の草履をはき、
「義平太、義平太」
「はいっ」
「大急ぎで、楽翁どのを、迎えて来てくれ。駕籠で、飛ばしてゆけよ」
「は。承知しました」
義平太は、すぐ走り去った。越前は、ふたたび、自室へもどって、文庫から、印籠をとり出し、またすぐ降りて、中庭門から、役宅庫の路地を抜け、幾廻りもして、柵門から獄舎の世界へ、通り抜けた。