Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
見えないのは、病妻のお縫と、乳のみ児だけだった。
が、越前守は、すぐ、何より先に、その妻子を、一室に見ていた。いや、二月ぶりの自分を、お縫に見せていた。
「……お帰り遊ばしませ。お出迎えもいたしませんで」
お縫は、寝ぐせのついた髪をやや整え、寝床を降りて、手をつかえた。その手の細さ、襟あしの衰え、良人の眼は、正視するに苦痛であった。
「縫。……寝ておれ、無理するな。ささ、寝むがいい。枕元でゆるりとくつろごう」
「いいえ、きょうは、気分もよろしゅうございまする。思いがけないお帰りで、子どもたちも」
「オオ、離れはせぬ」
と、両膝に、雪子と求太郎をかかえながら、
「御用のため、そなたの病を、見にも戻れず、淋しかったであろ」
「なんの、お役儀のためですもの……。お町奉行の妻ともなれば、いたし方もございません。それよりも、お留守の家を、御安心して、御用にお尽し遊ばすようにもできず、私の不つつか……おゆるし下さいませ」
妻は詫び、良人も詫びた。
お縫は、つとめて、ほほ笑みを作り、どうして、久しぶりの良人を慰めようか、自分も、楽しもうか、そぞろ、病の篤いのも忘れて、
「雪子も、求太郎も、さだめし、うれしいことでしょう」