Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans
「路銀は、お持ちですか」
それまで訊いて、すべてに安心すると、お菊ちゃんは、これから夜の明け方に、お大師様へ詣って、穴守で朝飯をたべて、ゆっくり一昼寝した上、陸道から江戸へ帰ると云った。
桂は、何か、露八に気をおくらしい気振りで、
「では、どうか、お二人はひと足先に」
と、促した。
「露八さん、行きましょう。――手を取っておくれ」
お菊ちゃんは、彼に手を預けて、船から岸へ上がった。そして、もいちど上から、
「じゃあ、道中、気をつけていらっしゃいね。――桂さん」
桂は、船に立って、
「それよりは、癆咳を癒さねばいかんぞ。今度会うまでに、もっと、肥っておれよ」
「ホホホ。露八さんみたいに」
「ウム。――坊主殿も、おさらば」
何が何だか判らないずくめであったが、露八も、つきあいに、
「左様なら――」
海辺の堤の上を、露八とお菊ちゃんと、まだ暗い雑草の霜をふんでとぼとぼと歩きだした。酒の醒めたせいか、急に風の冷たさが身にこたえて、水洟が出てきた。
ゆうべは、一声も聴かれなかった千鳥が、今になって、暁闇の空をかすめながら、海苔柴朶の洲へ、啼いて落ちた。
(おかしい?)
どう考えても露八には解せないお菊ちゃんの行動だった。