Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans

Aozora Bunko

「お客が? ……はてな、どんな人だ」

「若いお武家」

「武家は苦手だ。断わってくれ」

「駄目だよ、先で、姿を見ているんだもの、留守とも云えないだろう。きっと、ご祝儀でもくれるのかも知れない」

「嫌だなあ」

まったく、辛そうだった。

夕顔だの、松風だの、部屋の名は源氏の帖の名をつけてある。桐壺は、離れだった。侍と云えば叔父ではないか、榊原健吉ではないか、と臆病が先に立つ。

怖々、濡れ縁の端から、中を覗いて、

「ええ、当家の、帳場の者でございますが……」

ひょいと見ると、客は渋沢栄一だった。白っぽいうす菊花石が、ひと粒ひと粒笑っていた。

「しまった!」

庄次郎は、頭を抱えて、逃げかけた。渋沢は、縁から手をのばして、その腕をつかみ、以前よりも、親しみのある声で、

「君っ、なぜ逃げるのか」

「面目ないっ」

「どうめされたのじゃ、その姿は」

「今日のところは、お慈悲だ。――知らぬ他人と思って」

「水くさい。まあ、話そう」

「いや、そのうちに……そのうちに、きっと、借用の金子も、ご返済いたすによって」

「金子じゃと……。なんじゃ、あれは、その節、お祝いの寸志として、貴公へ進呈したものじゃないか」