Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

Lisez 花も刀も (はなもかたなも) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 364 caractères · 178 écrans

Aozora Bunko

と、深喜は気がついた。

刀をしまわなければならない。そう気がついたとき、少しおちついて、足を緩めた。どこだか見当もつかないが、道幅の狭い街筋で、軒の低い左右の家並は、みな雨戸を閉め、ひっそりと寝しずまっていた。彼は立停った。追って来る人もなく、叫び声も聞えない。すると急に激しい呼吸困難を感じた。そこまでは『逃げる』ことで夢中だったが、もう大丈夫とわかったとき(初めて)走りどおしに走った苦しさが感じられたのであった。

立停ったまま少し息をしずめているとすぐ近くで囁くような、水の流れる音が聞えた。その音をめあてにゆくと、家並が切れて、右側に広く空地がひらけ、細い田川が流れていて、川沿いに枯草の茂みがあった。

深喜は草の上に坐り、刀を拭くために、ふところを探ったが懐紙も紙入れも無かった。

走って来る途中で落したのだろう――彼は刀をあげ、刀身に眼を近づけて、血のりの痕を見た。血は付いていなかったし、指で撫でると、刃先のほうに僅かぬるとした膏が感じられた。

「深くは斬らなかったな」

軽く肉を裂いた程度だ、と彼は思った。

殺すつもりがなかったのだから当然だ。