Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

Lisez 花も刀も (はなもかたなも) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 364 caractères · 178 écrans

Aozora Bunko

二

人の蔭口だからよくわからないが「老職の若い妻と重四郎が密通している」という噂がある、と久三郎は云った。その若い妻というのは、良人と三十も年が違い、これまでにもしばしば、いやな評判があった。いつかの(幹太郎が仕止めた)菱川なにがしの刃傷沙汰もそれが原因で、重四郎はおそらくその女に誘惑されたのだろうと思う、と久三郎は語った。

幹太郎はぐっと唇を噛んだ。

二

久三郎が帰ったあと、幹太郎は縁側へ出て、ながいこと、もの思いに耽った。

ときどき団扇を動かすのが、いかにも重たく、もの憂げであった。

――野口が重職の妻と密通している。

本当だろうか、と幹太郎は、まだ信じかねる気持で、暗い庭の向うへ眼をやった。

武家屋敷の生活は規矩がきびしく、男女のつきあいなどには、特に厳重な制約があった。もちろん厳重な制約があればあるほど、お互いに惹きあう気持は激しくなるだろうし、どんなに、厳重に結った垣にも、必ずぬけ出る隙はあるものだ。

――事実とすれば、捨ててはおけない。

白川久三郎は重職の若い妻だというだけで、その姓も名も云わなかった。

だが、重四郎との不倫は、かなり評判になっているというし、相手の女は淫奔らしい。