Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
Lisez 花も刀も (はなもかたなも) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 364 caractères · 178 écrans
幹太郎は前へ出ながら、「待て、話すことがある」と云った。
「おちつけ、野口――」と、呼びかけたとき、向うは身をひるがえして、鼬のようにすばやく、闇の中へ逃げ去っていった。
幹太郎は持っている懐剣を、無意味にゆらゆら振りながら、やや暫くどうしようかと迷っていたが、これから追っていっても、すなおに話は聞かぬだろうと思い、諦めて住居へ引返した。
明くる朝――時刻になっても野口重四郎は稽古に来なかった。少年の門人を迎えにやると「昨夜から姿が見えない」という返辞だった。幹太郎は上村と伊勢に道場のことを頼み、監事の白川久三郎を自分の居間へ呼んだ。
幹太郎は昨夜のことを話し、懐剣をそこへ置いた。
「前後の事情から判断すると、たしかに野口とその婦人だったように思う」
「おそらくそうでしょう」と、久三郎も頷いた。
幹太郎は「困った」と呟き、重四郎が帰るまで、夜中脱出したことを隠す法はないだろうか、と相談した。久三郎は頭を傾けて、
「そんなふうだとすると、戻って来ないのではないかと思うが」と答えた。
「婦人のほうはどうだろう」
幹太郎が訊いた。
久三郎も同じことを心配していたらしい。