Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

Lisez 花も刀も (はなもかたなも) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 364 caractères · 178 écrans

Aozora Bunko

――まだ夢中なんだ。

こんなばかげた、夢でも見ているようなことを云うほど深く騙されたのか、と幹太郎は思った。

「しっかりしろ野口、おれの眼を見ろ」と、幹太郎は云った。

彼は半刻ちかく話した。しかし、反応はまったくなかった。重四郎には彼の云うことも聞えず、そこにいる彼の姿さえ眼に入らぬようすだった。放心したような眼は、ぼんやりと宙をみつめ、唇はいつまでも垂れたままであった。

――だめだ。

幹太郎は怒りに駆られ、相手の弛緩した顔を、力いっぱい殴りつけてやりたくなった。殆んど手をあげそうになり、辛うじて、それを抑えると、立ちあがってその部屋を出た。

障子を閉めようとして、振返ると、重四郎がゆっくりと、もの憂そうにこちらを見、にっと唇で微笑した。暗い部屋の中で、仄かな片明りに浮いて見えたその微笑は、まるで幽鬼の笑いのように思え、幹太郎はわれ知らず総毛立った。

夕食のあと、白川久三郎に案内を頼んで、富原惣兵衛に会いにいった。よく話してみれば、野口を助けることができるかもしれないと思ったからである。――惣兵衛は色が黒く、痩せて、角張った顔で、眉毛は白いが、髪毛はまだつやつやと黒く、柔和そうな眼つきをしていた。