Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

一同は既に十分の酔心地。覚えず声を揃えてまたもや絶景々々と叫ぶ。夕焼の空は次第に薄らぎ鉄砲洲の岸辺に碇を下した親船の林なす帆柱の上にはちらちらと星が泛び出した。佃島では例年の通り狼烟の稽古の始まる頃とて、夕涼かたがたそれをば見物に出掛ける屋根船猪牙舟は秋の木葉の散る如く河面に漂っていると、夕風と夕汐のこの刻限を計って千石積の大船はまた幾艘となく沖の方から波を蹴ってこの港口へと進んで来る。その大きな高い白帆のかげに折々眺望を遮られる深川の岸辺には、思切って海の方へ突出して建てた大新地小新地の楼閣に早くも燦き初める燈火の光と湧起る絃歌の声。すると櫛の歯のように並連ったそれらの桟橋へと二梃艪いそがしく輻湊する屋根船猪牙舟からは風の工合で、どうかすると手に取るように藤八拳を打つ声が聞えて来る。

国貞は近頃一枚絵にと描いてやった深川の美女が噂をしはじめると鶴屋の主人はまた彼の地を材料にした為永春水が近作の売行を評判する。その間もあらず一同を載せた屋根船は殊更に流れの強い河口の潮に送られて、夕靄の中に横る永代橋を潜るが早いか、三股は高尾稲荷の鳥居を彼方に見捨て、暁方の雲の帯なくかなかずの時鳥と、蜀山人が吟咏のめりやすにそぞろ天明の昔をしのばせる仮宅の繁昌も、今は唯だ蘆のみ茂る中洲を過ぎ、気味悪く人を呼ぶ船饅頭の声