Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

九

」

先ほど手を鳴らし立てた元気は何処へやら、一同は左右から女中をいい慰め一刻も早くこの場を立去るより仕様がない。わずかにその場の空腹をいやすためもう誂えべき料理とてもない処から一同は香物に茶漬をかき込み、過分の祝儀を置いてほうほうの体で菜飯茶屋の門を出たのである。

「種員さん、いよいよ薄気味の好くねえ世の中になって来たぜ。岡場所は残らずお取払い、お茶屋の姐さんは吉原へ追放、女髪結に女芸人はお召捕り……こうなって来ちゃどうしてもこの次は役者に戯作者という順取だ。」

「こうこう仙果さん。大きな声をしなさんな。その辺に八丁堀の手先が徘徊いていねえとも限らねえ……。」

「鶴亀々々。しかし二本差した先生のお供をしていりゃア与力でも同心でも滅多な事はできやしめえ。」と口にはいったけれど仙果は全く気味悪そうに四辺を見廻さずにはいられなかった。

それなり種彦を初め一同は黙然として一語をも発せず、訳もなく物に追わるるように雷門の方へ急いで歩いた。

九

久しぶりの散歩に思の外の疲労をおぼえ、種彦はわが家に帰るが否や風通しのいい二階の窓際に肱枕してなおさまざまに今日の騒ぎを噂する門人たちの話を聞いていたが、する中にいつか知らうとうとと坐睡んでしまった。