Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
十
」と重吉は笑う。玉子も傍から、
「どこへ連れられて行ったの。」と水を向けたが、その時階下の時計の鳴る音がしはじめたので、自分の腕時計を見ながら、
「あら、もう十二時。そろそろおいとましなくッちゃ。」
「いいじゃないの。泊っておいでよ。彼氏のおのろけも聞きたいしサ。」
「あれはもう駄目。今日すっかり兄さんにお話したのよ。」
「そう。別れたの。」
「ええ。」と玉子が話をしはじめようとした時、今度は電話の鈴がそれを遮った。お千代は十二時前後になって電話のかかって来るのは、表二階の女給さんと自分のところより外にはないことを知っているので、急いで降りて行き、すぐに立戻って来て、
「玉ちゃん、わたし今夜はもうつかれているから、あなた、出る気があるなら代りに出てくれない? それなら、そういう風に返事をするから。築地のお茶屋で、いい家なのよ。」と指先の暗号で何やら数字を示した。
「ええ。いいわ。」と玉子は頷付いて、「おとまりね。」
「でしょう。だからコレ。」とお千代はまた暗号で念を押した後、電話の返事をしにと下へ降りて行った。
十
あくる朝お千代はとにかく一度荒木のおばさんの様子を見て来ようと言って、病院へ出掛けて行った。