Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
二
」
「それはそれは。いつもながら鶴屋さんの御心遣には恐縮千万。」
「お言葉ではかえって痛み入ります。実はまだいろいろと御話を承りたいことが御座ります。丁度今日は亀井戸の師匠もおいでで御座りますし、さしずめ唯今板木に取りかかっております『田舎源氏』の三十九篇、あれはいかが致したもので御座りましょうか、いずれ船中で御ゆるり御相談致したいと存じております。」
一同は種彦を先に桟橋につないだ屋根船に乗込んだ。
二
背中一面に一人は菊慈童、一人は般若の面の刺青をした船頭が纜を解くと共にとんと一突桟橋から舳を突放すと、一同を乗せた屋根船は丁度今が盛の上汐に送られ、滑るがように心持よく三十間堀の堀割をつたわって、夕風の空高く竹問屋の青竹の聳立っている竹河岸を左手に眺め真直な八丁堀の川筋をば永代さして進んで行った。
夏の日は已に沈んで、空一面の夕焼は堀割の両岸に立並んだ土蔵の白壁をも一様に薄赤く染めなしていると、その倒なる家の影は更に美しく満潮の澄渡った川水の中に漂い動いている。幾個と知れぬ町中の橋々には夕涼の人の団扇と共に浴衣一枚の軽い女の裾が、上汐のために殊更水面の高くなった橋の下を潜行く舟の中から見上る時、一入心憎く川風に飜っているのである。