Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
七
七
全くどうにも仕様のないこの場合に立至っては今更のめのめと柳絮が親元の紙問屋へ相談にも行かれず、同時に廓の方面にもいわばそれとなく自分が身受の証人にもなったような関係がらうっかりと顔出しも出来ぬ。といってこのまま知らぬ顔に打捨てても置かれまいと種彦は思案に暮れたあまり、ふらりと家を出で足の向く方へと歩いて行った。歩いて行く中には何とかよい考えが出るかも知れぬとたよりにならぬ事をたよりにするより仕様がなかった。
さまざまな物売の声と共にその辺の子窓からは早や稽古の唄三味線が聞え、新道の路地口からは艶かしい女の朝湯に出て行く町家つづきの横町は、物案顔に俯向いて行く種彦をば直様広い並木の大通へと導いた。すると忽ち河岸の方から颯とばかり真正面に吹きつけて来る川風の涼しさ。種彦はさすがに心の憂苦を忘れ果てるというではないが、思えばこの半月あまりは一歩も戸外へ出ず引籠ってのみいた時に比べると、おのずと胸も開くような心持になり、少時は何の気苦労もない人のように目に見える空と町との有様をば訳もなく物珍し気に眺めやるのであった。
両側とも菜飯田楽の行燈を出した二階立の料理屋と、往来を狭むるほどに立連った葭簀張の掛茶屋、またはさまざまなる大道店の日傘の間をば士農工商思い思いの扮装形容をした人々が後から後からと引きも切らず