Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

ひかげの花

一

一

二人の借りている二階の硝子窓の外はこの家の物干場になっている。その日もやがて正午ちかくであろう。どこからともなく鰯を焼く匂がして物干の上にはさっきから同じ二階の表座敷を借りている女が寐衣の裾をかかげて頻に物を干している影が磨硝子の面に動いている。

「ちょいと、今日は晦日だったわね。後であんた郵便局まで行ってきてくれない。」とまだ夜具の中で新聞を見ている男の方を見返ったのは年のころ三十も大分越したと見える女で、細帯もしめず洗いざらしの浴衣の前も引きはだけたまま、鏡台の前に立膝して寝乱れた髪を束ねている。

「うむ。行って来よう。火種はあるか。この二、三日大分寒くなって来たな。」と男はまだ寐たまま起きようともしない。

「今年も来月一月だもの。」と女は片手に髪を押え、片手に陶器の丸火鉢を引寄せる。その上にはアルミの薬鑵がかけてある。

「うむ。月日のたつのは全く早いな。来年はおれもいよいよ厄年だぜ。」

「そう。全く憂欝になるわよ。男は四十からが盛りだからいいけれど、女はもう上ったりだわ。」と何のはずみだか肩を張って大きな息をしたのが、どうやら男には溜息をついたように思われた。