Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
覚えず涙に曇る眼を拭い種彦はやがて男の手紙を開くに及んで初めて深い事情を知り得た。先頃から、これも要するにこの度の御政事向御改革の影響といわねばならぬ。若旦那の親元なる紙問屋は江戸中問屋十組の株が突然御廃止になったため、それやこれやの手違いより俄に莫大の損失を引起し家倉を人手に渡すも今日か明日かという悲運に立至った。親の家が潰れてしまえば頼みに思う番頭から詫びを入れて身受の金を才覚してもらおうという望も今は絶えた訳。さらばといってどうして今更お園をば二度と憂き川竹の苦界へ沈られよう。身受する力も望みもなくなって唯いつまでも大金のかかった女を人の家に隠匿って置いたなら、わが身のみかは恩義ある師匠にまでいかなる難儀を掛けるも測られぬ。それ故事の面倒にならぬ中わが身一つに罪を背負って死出の旅路を志し申候。何とぞ後の回向をたのむとあった。
種彦は菱垣船や十組問屋仲間の御停止よりさしもに手堅い江戸中の豪家にして一朝に破産するものの尠くない事を聞知っていた処から、今更ながら目の当りこの度の法令の恐しい上にも恐しい事を思知るばかり。死にに行くという若いもの供の身の上についてはさしずめ如何なる処置を取ってよいのやら全く途方に暮れてしまった。