Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
に歩いて行く。それはこの年月幾度と知れず見馴れた上にも見馴れた街の有様ながら、しかしここに住馴れた江戸ッ児の馬鹿々々しいほど物好な心には、一日半日の間も置きさえすれば忽にして十年も見なかった故郷のように訳もなく無限の興味を感じさせるのである。
早や虫売の荷が見える。花売の籠の中にはもう秋の七草が咲き乱れている。しかし其様事には目もくれずお蔵の役人衆らしいお侍は仔細らしい顔付に若党を供につれ道の真中を威張って通ると、摺違いざまに腰を曲めて急がし気に行過ぎるのは札差の店に働く手代にちがいない。頭巾を冠り手に数珠を持ち杖つきながら行く老人は門跡様へでもお参りする有徳な隠居であろう。小猿を背負った猿廻しの後からは包を背負った丁稚小僧が続く。きいた風な若旦那は俳諧師らしい十徳姿の老人と連れ立ち、角隠しに日傘を翳した上つ方の御女中はちょこちょこ走りの虚無僧下駄に小褄を取った芸者と行交えば、三尺帯に手拭を肩にした近所の若衆は稽古本抱えた娘の姿に振向き、菅笠に脚絆掛の田舎者は見返る商家の金看板に驚嘆の眼をって行くと、その建続く屋根の海を越えては二、三羽の鳶が頻と環を描いて舞っている空高く、何処からともなく勇ましい棟上げの木遣の声が聞えて来るのであった。