Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

種彦は丁度豊後節全盛の昔に流行した文金風の遊冶郎を見るように両手を懐中に肩を落し何処を風がという見得で、いつのほどにか名高い隅田川という酒問屋の前辺りまで来たが、すると、忽ち向うに見える雷門の新橋と書いた大提灯の下から、大勢の人がわいわいいって駈出して来るのみか女の泣声までを聞付けた。ソラ喧嘩だ人殺だというが早いか路行く人々は右方左方へ逃惑うものもあれば、我遅れじと駈けつけるものもある。その後につづいて町の犬が幾匹ともなく吠えながら走る。

種彦は依然として両手を懐中にこの騒ぎも繁華なお江戸ならでは見られぬものといわぬばかり街の角に立止って眺めていたが、しかし走交う群集に遮られて実は何の事件やら一向に見定める事が出来なかったのである。

「先生。」と突然横合から声をかけたものがある。

「いや。仙果に種員か。あの騒ぎは一体どうしたものだ。」

「先生。大変な騒ぎで御座ります。奥山の姐さんが朝腹お客を引込もうとした処を隠密に見付りお縄を頂戴いたしたので御座ります。」

「ふうむさようか。」と種彦もさすが事件の意外なるに驚いた様子。「奥山の茶見世なぞは昔から好からぬ処ときまったものではないか。