Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
しかしその頃には差当り生活には困らない理由があったので、玉突や釣などに退屈な日を送る傍、小説をもかいて見た事があったが、もともと専門の文学者になろうというほどの熱心もまた自信もなかったので、或新聞社の懸賞募集小説に応じて落選したのを名残りに、この道楽も忘れたように止してしまった。そうなると、一時は丁寧に浄書までした原稿の五、六篇もいつとはなく紙屑にしてしまったが、その中で、自叙伝めいた一篇だけは、さすがに捨てがたい心持がしたと見えて、今もって大切に押入の中の古革包にしまってある。重吉はお千代が外へ泊って帰って来ない晩など、折々この旧作を取出しては読返して見るのである。
この小説は重吉が学校を卒業する前後五、六年の間、十以上も年のちがった未亡人と同棲していた時の事を、殆ど事実そのまま書きつらねたものであった。
未亡人は麹町平川町辺に玉突場を開いていた。そして玉突に来る学生四、五人を引きつれ、活動写真を見に行ったり銀座通や浅草公園を歩いたりする。重吉も欠かさずお供にさそわれる学生の中の一人であったが、毎年八月中未亡人が店を休んで鎌倉へ避暑に行く。その後を追いかけて行った時、ここに忽ち情交が結ばれ、涼しくなって東京に立戻ると間もなく女は玉突場を売払う、重吉は下宿を引上げる。