Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
重吉は一策を思いついた。未亡人種子の行動を探るには、その跡をつけたり何かするよりは、専業の秘密探偵に依頼してその身元から調べ上げてもらうのが一番捷径であろう。そう決心して重吉はその月の給料の遣い残りを傾けて探偵社への報酬に当てた。
種子は未亡人ではなかった。十年ほど前、背任罪で入獄中縊死した実業家某というものの妾で、その前身はかつてその実業家の家に出入りしていた家庭教師であった。現在種子の名義になっている動産並に不動産は犯人が検挙せられる以前合法的に隠匿した私財の一部であるのかも知れない。また種子が現在関係している男の中で、探偵社の調査したものは、筑前琵琶の師匠何某、新派俳優の何某、日本画家何某の三人であるという。
しかしほどなく重吉は会社から解雇されて、一年ちかくたった時、種子自身の口から探偵社の調査報告書よりももっと委しい事情をば、包むところなく打明けられる機会に出遇った。種子はその身の不しだらを永く隠しおおせるものでないと思ったのか、あるいはまた男の心を引いて見るためか、大胆にもこんな事を語った。
「重ちゃん。わたしは十九の時から三十まで十何年、いやでいやでたまらない人の玩弄物になっていたのよ。