Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
足の疵はやがて痊えたが、その年の冬風邪から引きつづいて腹膜炎に罹り、赤十字病院に入ると間もなく危篤に陥った。医者の注意と患者の希望とによって、これまで重吉の一度も会ったことのない親戚が二人、その一人は水戸から、他の一人は仙台から病院へ呼寄せられた。その翌日の夜種子が息を引取ると、親戚二人の間には忽種子の遺産の処分について議論が持出された。水戸から出て来たのは中学校の教員で種子の兄だという。仙台からのはその地の弁護士で叔父だという。家中をさがしても故人の遺書が見当らないので、その遺産は二人の親戚が分配してその残りを重吉に贈ることに議決された。即ち銀行に預けてある現金五千円ばかりと、家具衣類などである。重吉は抗議したが、弁護士の叔父は法律上重吉には異議を言う権利がない事を説き、漢文の教師で柔道は三段だという水戸の兄は重吉が種子の家に入り込んだ来歴を詰問して、その答弁の如何によっては道徳上の制裁をも加えまじき勢を示した。重吉はしぶしぶ二人の為すがままに任すより仕様がなかった。かつて学生のころ、重吉は水戸出身の同級生と争って、白鞘の匕首でおどかされた事があってから、非常に水戸の人を恐れているのである。