Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

生れたのは女の子で、お千代の老母が養育するという事になったので、せめてその費用なりとも稼ぎたいと、お千代は再び東京へ女中奉公に出た。三、四年の後相応の人が媒介をしてくれるがまま或雑貨商の家へ嫁に行くと、ほどなく田舎の母親が病死したので、良人に事情を打明けて子供を引取った。しかし無事に暮したのはわずか一年ばかりで、良人の両親や兄弟までが地方から出て来て同居するようになってから、家内には紛々が絶えず、暮し向も店をしまわなければならぬまでに窮迫して来た。お千代は親の家にいた時から手の汚れるような荒い仕事が嫌いであったのと、また最初からあまり気の進まなかった縁だったので、話合いで夫婦別れをして、子供は幸いと近処の人に懇望せられるまま養女にやり、身一ツになった気まぐれに、またまた屋敷奉公に出歩いた後、派出婦になって見たのだという事であった。

次の日の朝、重吉は小女を使に出した後、死んだ種子の衣類を入れた箪笥の扉や抽斗をお千代にあけさせた。お千代は樟脳の匂を心持よさそうに吸込みながら、抽斗を引きあける度に、まアまアと驚嘆の声を発し、

「あなた。こんな立派なお召物、みんなわたくしのものにしてもいいと仰有るの。