Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

むかしお前の取った給料と同じだぜ。しかし女の方がまだいい。たまには特別の収入があるからな。」

「あら、ひどいわ。何ぼわたしだって、そう誰にもッて言うわけじゃなかったのよ。あの時はあなたが悪いのよ。今になってそんな事を言うのはあんまりだわ。」

「お千代、おれがもし病気にでもなったら……お前、おれのために稼いでくれるか。女給にでもなって……。」

重吉はしなだれ掛るお千代の肩を抱くようにして上からその顔を差覗いた。実はその後お千代の方から何か話をしだすだろうと、重吉は心待ちに待っていたのであるが、さっぱりその様子も見えないので、今夜の機会を逃さず正面から切出して女の心持をきこうと思定めたのである。

「ええ、なってもいいわ。」

「お前、ほんとうか。」

「ええ、あなたがなれといえばなって見ます。」

重吉はお千代の返事が少したよりのないほど明快過るので念を押して見ないわけには行かなかった。しかしお千代の方では初めから重吉の命ずる事なら何でもして見ようと気軽く考えている。別に重吉のためにその身を犠牲にすることを厭わないというような堅い決心からではない。何事に限らずその時々の場合に従って何の思慮もなく盲動するのがつまりこの女の性情である。