Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
」
お千代はその翌日昨日のようにまた女給の口をさがしに家を出た。しかし今日は場所が限られていないので、どの方面へ行ったものかかえって当がつかない。それのみならず、銀座通の裏表を歩いて、ほんのちょっとではあるがカフェーの内を窺ってから、お千代はもう女給になるのがいやになっている。そうかと言って差当り他に捜すべき職業はなく、また身の振方を相談する人もない。歩きながら、洗湯で心安くなった彼の婆さんの事を思いついて、お千代は電車の停留場まで行き着きながら俄にもとの道へ後戻りをした。
婆さんは事情をきいて、「それでは奥さん、こうなさいよ。」と言った。それは重吉の前だけ、あちこちのカッフェーへ三、四日ずつ見習に行くような振りをして、婆さんの家で時間をつぶすがよいという事である。
婆さんの家には電話が引いてあるが秘密の漏れることを恐れて女中は置いていない。食物は時折電話でてんや物を取寄せ、掃除は月に一、二度派出婦を呼んでさせるので、台処の流しや戸棚の中は家族の多い貧乏世帯よりはかえって奇麗になっている。大概毎日、午後から夜にかけて男の客が来ると、婆さんは電話で女を呼び寄せ二階へ上げるが、二、三人連の客だと、電話で予め女の方へ交渉して、客の方は聯絡のついている待合か旅館かへ行ってもらって家へは上げないようにしている。