Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
重吉は何か間違いでもありはしないかと、少し心配をしはじめた。
昼飯の残りを蒸返し、てっか味噌と焼海苔とを菜にして、独り夕飯を食べてしまってから、重吉は昨日の午後お千代を呼んだ芳沢旅館へ電話をかけて問い合わすと、その日の夕方まで其処にいたことは分ったが、それから後の行先がわからない。日頃贔屓にしてくれる待合二、三軒へ問合したがやはり同じことである。重吉はいよいよ気になって、日頃お千代が親しく往来している同業の女のもとへ問合すより道がないと思ったが、これは電話の番号がよくわからない。鏡台の引出しか何処かに何か書いたものでもないかと捜して見たが何も見当らない……。
「中島さん、どなたか見えましたよ。」とその時硝子屋のお上さんの声がしたので、重吉は梯子段を三、四段降りながら下を覗くと、昨日の午後溜池の角で出逢ったかの玉子である。
「お上んなさい。」
「千代子さんは……。」
「今出掛けているんだが、ちょっと話があるから、まアお上んなさい。」
玉子は硝子屋の家族に軽く挨拶して重吉の後について二階へ上る。
「昨日は失礼しましたわ。」
「あれから、家へ寄るかと思って待っていたんだよ。