Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

わたしがヨウさんに勧められ「彩牋堂の記」を草する心になったのも平素『鶉衣』の名文を慕うのあまりに出でたものである。彩牋堂記の拙文は書終ると直様立派な額にされたが新曲は遂に稿を脱するに至らずその断片は今でも机の抽斗に蔵われてある。

わたしが新曲に取用いようと思い定めた題材は『江戸名所図会』に記載せられた浅草橋場采女塚の故事遊女采女が自害の事であった。ヨウさんの賛成を待って筆をつけようと思った時は丁度七月の盆に近く稽古は例年の通り九月半まで休みになる。ヨウさんは家族をつれて大磯の別荘に行く。わたしは暑気にあてられて十日ほど寝る。秋涼を待ち彩牋堂の稽古が始まる頃にもなったら机に向おうと思っていると、今度は師匠が病気になった。十月に入って師匠が稽古に出られる頃にはその年は折悪しく主人のヨウさんが会社の用で満韓へ出張という次第。帰京すれば間もなく歳暮に近くそれから正月一ぱいこれはまた芸人の習慣で稽古は休みである。

心中采女塚はそんな事ですっかり執筆の興が失せてしまった。二月に至って彩牋堂から稽古始めの勧誘状が来たが毎年わたしは余寒のきびしい一月から三月も春分の頃までは風のない暖かな午後の散歩を除いてはなるべく家を出ぬことにしているので筆硯多忙と称して小袖の一枚になる時節を待った。