Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
兼太郎は本妻との間にその時八つになる男と十三になる娘があったにもかかわらず、いつか沢の家に入りびたりとなった。本妻の実家は資産のある金物問屋の事とて兼太郎の身持に呆れ果て子供を引取って養育する代り本妻お静の籍を抜きやがて他へ再縁させたという話である。
丁度そんな話のあった頃から兼太郎は沢次の家にもどうやら居辛いようになって来た。初めの中は旦那の落目に寝返りをしたなどと言われては以前の朋輩にも合す顔がない。今までお世話になった御恩返しをするのはこれからだと沢次は立派な口をきいていたが、一年二年とたつ中いつか公然と待合にも泊る。箱根へ遠出にも行く。兼太郎は我慢をしていたが、遂には抱えの女供にまで厄介者扱にされ出したのでとうとう一昨年の秋しょんぼりと沢の家を出た。さすがに気の毒と思ったのか沢次はその時三千円という妾宅を売った折の金を兼太郎に渡した。以後兼太郎はあっちこっちと貸間を借り歩いた末、今の築地二丁目の出方の二階へ引っ越して来た時には、女から貰った手切の三千円はとうに米屋町で大半なくしてしまい、残の金は一年近くの居食にもう数えるほどしかなかった。