Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
長い間窓に腰をかけていたので湯冷もする、火鉢の火を掻立てて裏の物干へ炭団を取りに行くとプンプン鳥鍋の匂がしている。隣家は木挽町の花柳病院の助手だとかいう事で、つい去年の暮看護婦を女房に貰ったのである。二階から此方の家の勝手口へ遠慮なく塵を掃き落すというので出方のかみさんは田舎者は仕様がないとわるく言切っている。兼太郎は雪に濡れた炭団をつまんで独り火を起すその身に引くらべると、貰って間もない女房と定めし休暇と覚しい今日の半日を楽しく暮す助手の身の上が訳もなく羨ましく思われたので、聞くともなく物干一つ隔てた隣の話声に耳をすました。すると物干の下なる内の勝手口で、
「おかみさん、留守かい。おかみさん。」と言う男の声。物干の間から覗いて見ると紺の股引に唐桟縞の双子の尻を端折り、上に鉄無地の半合羽を着て帽子も冠らぬ四十年輩の薄い痘痕の男である。
「伊三どん、大変な道だろう。さアお上り。」水口の障子を明けたかみさんは男の肩へ手をやって、
「今日は二階にいるんだからね。」と小声に言った。
「そうか。貸間の爺かい。じゃまた来ようや。」
「何、いいんだよ。さア伊三どん。おお寒い。