Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
」
「ある人はあるし無い人はないわ。お父さんもうこれでおつもりよ。」
お照は二合壜を倒にして盃につぎ、「何時でしょう。わたしもうそろそろお暇しなくちゃならないわ。二、三日中に行くところがきまったら知らせるわ。」
「まだいいやな。あの夜廻は九時打つと廻るんだ。」
「今夜これから襦袢の襟をかけたりいろいろ仕度しなくちゃならないのよ。明日の晩にでもまた来ますよ。お酒と何かおいしそうなものを持って来ますよ。」とお照は立ちかけて、「お父さん、ここのお家、厠はどこなの。」
お照は約束たがえず翌日の晩、表通の酒屋の小僧に四合壜の銀釜正宗を持たせ、自身は銀座の甘栗一包を白木屋の記号のついた風呂敷に包んで、再び兼太郎をたずねて来た。甘栗は下のおかみさんへの進物にしたのである。この進物でかみさんはすっかり懇意になり、お照が鉄瓶の水を汲みにと、下へ降りて行った時袖を引かぬばかりに、
「お照さん、あなた、お燗をなさるんならこの火鉢をお使なさいましよ。銅壺に一杯沸いていますよ。何いいんですよ。家じゃ十一時でなくっちゃ帰って来ませんからね。いっその事今夜はここでお話しなさいましよ。