Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
わたし気の毒になっちまったわ。」
路地を出ると支那蕎麦屋が向側の塀の外に荷をおろしている。芸者の乗っているらしい車が往来するばかりで人通は全く絶え、表の戸を明けているのは自動車屋に待合ぐらいのものである。銭湯は今方湯を抜いたと見えて、雨のような水音と共に溝から湧く湯気が寒月の光に真白く人家の軒下まで漂っている。
「今夜は馬鹿に酔ったぜ。そこまで送って行こう。」
「お父さんソラあぶない事よ。」
「大丈夫、自分で酔ったと思ってれァ大丈夫だ。」
「ねえ、お父さん。あのおかみさんは、わたし御亭主さんに惚れていないんだと思うのよ。」
「何だ。また家のはなしか。」
「惚れていない人と一緒になると皆ああなんでしょうか。いやなものなら思切って別れちまった方がよさそうなものにねえ。」
「色と夫婦とは別なものだよ。惚れた同士は我儘になるからいけないそうだ。お前なんぞはこれからが修行だ。気をつけるがいいぜ。」
「お父さん。わたしが銀座にいた時分から今だに毎日々々きっと手紙を寄越す人があるのよ。わたしの頼むことなら何でもしてくれるわ。随分いろんなものを買ってもらったわ。」
「そうか。若い人かね。