Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
となり候処、この時手に手に、提灯持ちたる家中の侍とも覚しき人数駈け来り、娘御の姿を見候て、皆々驚く中にも安堵の体にて一人の男の背に娘御をかつぎ載せ、そのまゝもと来りし方へと立去り候一場の光景。愚僧は始より終まで、草むらの中にて見定め、夢に夢見る心持にて有之候。但し固より夢にては無之事に候間、とかくする中、東の空白みかゝり塒を離るゝ鴉の声も聞え候ほどに、すこしは安心致し草むらの中より這出し、崖下へ落ち候二人の侍、生死のほども如何相なり候哉と、恐る/\覗き申候に、崖はなか/\険岨にて、大木横ざまに茂り立ち候間より広々としたる墓場見え候のみにて、一向に人影も無御座候。その辺に血にても流れをり候哉と見廻し候へども、これまたそれらしき痕も相見え申さず候。さては両人共崖に墜ち候が勿怪の仕合にて、手疵も負はず立去り候もの歟など思ひながら、ふと足元を見候に、草の上に平打の銀簪一本落ちをり候は、申すまでもなくかの娘御の物なるべくと、何心なく拾取り、そのまゝ一歩二歩、歩み出し候処、またもや落ちたるもの有之候故、これも取上げ候に革の財布にて、大分目方も有之候故、中を改め候処、大枚の小判、数ふれば正しく百両ほども有之候。