Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
私はたった一つ広い座敷の真中についている暗いランプの笠の下に楽しい月日に取りやりした彼の人たちの手紙を読み返して……読み尽し得ずしてその上に顔を押当てて泣き伏します。庭一面相も変らぬ虫の声……
しかし私はやがてこの暗い夜、この悲しい夜の一夜ごとに、鳴きしきる虫の叫びの次第に力なく弱って行くのを知りました。私はいつか袷の上に新しい綿入羽織を着ています。新しい呉服物の染糸の匂が妙に胸悪く鼻につきます。雨はもう降りません。朝夕の冷かさに引換えて、日の照る昼過ぎは恐しいほど暑い。木の葉は俄に黄ばんで風のないのにはらはらと苔の上に落ちるのをば、この夏らしい烈しい日の光に眺めやると、私はいかにも不思議で不思議でならないような心持がします。「このあたり木の葉は散る春の四月」と仏蘭西の或詩人が南亜米利加の気候を歌ったそのような幽愁の味深い心持がします。読みさしの詩集なぞ手にしたまま、午後庭に出て植込の間を歩くと、差込む日の光は梅や楓なぞの重り合った木の葉をば一枚々々照すばかりか、苔蒸す土の上にそれらの影をば模様のように描いています。この影の奥深くに四阿屋がある。