Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
二
――程なく。
十騎、二十騎、四、五十騎と、敵らしい影が、林の中から山の下あたりへ、わウわウと殺到して、なにか口々に罵っていた。
二
中に、孫堅の声がした。
「敵は、山上に逃げたにちがいない。――なんの、これしきの断崖、馬もろとも、乗り上げろっ」
猛将の下、弱卒はない。
孫堅が、馬を向けると後から後から駈けつづいて来た部下も、どっと、山の登りへかかりかけた。
けれど、足もとは暗く、雑草の蔓と、雪崩れやすい土砂に悩まされて、孫堅の馬も、ただいななくのみだった。
断崖の上からうかがっていた呂公は、今ぞと思って、
「それっ、落せっ、射ろ」と、山上山下へ、両手を振って合図をした。
大小の岩石は、一度に、崖の上から落ちてきて、下なる孫堅とその部下三、四十人を埋めてしまうばかりだった。しかも、あわてて遁れようとすれば、四方の木陰から、凄まじい矢うなり疾風が身をつつむ。
「しまった!」
孫堅の眼が、二日月を睨んだ。とたんに、彼の頭の上から、一箇の巨大な磐石が降って来た。
ずしんっ――
地軸の揺れるのを覚えた刹那、孫堅の姿も馬も、その下になっていた。あわれむべし血へどを吐いた首だけが、磐石の下からわずかに出ていた。