Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
四
「いや、できる!」
王允は、思わず、満身の声でいってしまった。
杖をもって、大地を打ち、
「――ああ、知らなんだ。誰かまた知ろう。花園のうちに、回天の名珠をちりばめた誅悪の利剣がひそんでいようとは」
こういうと、王允は、彼女の手を取らんばかりに誘って、画閣の一室へ伴い、堂中に坐らせてその姿へ頓首再拝した。
貂蝉は、驚いて、
「大人。何をなさいますか、もったいない」
あわてて降ろうとすると、王允は、その裳を抑えて云った。
「貂蝉。おまえに礼をほどこしたのではない。漢の天下を救ってくれる天人を拝したのだ。……貂蝉よ、世のために、おまえは生命をすててくれるか」
四
貂蝉は、さわぐ色もなく、すぐ答えた。
「はい。大人のおたのみなら、いつでもこの生命は捧げます」
王允は、座を正して、
「では、おまえの真心を見込んで頼みたいことがあるが」
「なんですか」
「董卓を殺さねばならん」
「…………」
「彼を除かなければ、漢室の天子はあってもないのと同じだ」
「…………」
「百姓万民の塗炭の苦しみも永劫に救われはしない……貂蝉」
「はい」
「おまえも薄々は、今の朝廷の累卵の危うさや、諸民の怨嗟は、聞いてもいるだろう」