Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate

Aozora Bunko

十常侍

一

あわれな卒伍は、まだ洛陽の温かい菜の味も知らない。土龍のように、鉄門の蔭に、かがまっていた。

張飛も黙然と、水ばなをすすっては、時折、ひどく虚無に囚われたような顔をして、空行く鴻の影を見ていた。

十常侍

一

「劉氏。もし、劉氏ではありませんか」

誰か呼びかける人があった。

その日、劉玄徳は、朱雋の官邸を訪ねることがあって、王城内の禁門の辺りを歩いていた。

振向いてみると、それは郎中張均であった。張均は今、参内するところらしく、従者に輿をかつがせそれに乗っていたが、玄徳の姿を見かけたので、

「沓を」と従者に命じて、輿から身をおろしていた。

「おう、どなたかと思うたら、張均閣下でいらっしゃいましたか」

玄徳は、敬礼をほどこした。

この人はかつて、盧植をおとしいれた黄門左豊などと共に、監軍の勅使として、征野へ巡察に来たことがある。その折、玄徳とも知って、お互いに世事を談じ、抱懐を話し合ったりしたこともある間なので、

「思いがけない所でお目にかかりましたな、ご健勝のていで、何よりに存じます」

と、久濶を叙べた。

郎中張均は、そういう玄徳の、従者も連れていない、しかも、かつて見た征衣のまま、この寒空を孤影悄然と歩いている様子をいぶかしげに打眺めて、