Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
四
何ほどのこともないぞ」
と、甘く見た華雄軍は、その擁する洛陽の精兵を挙げて、孫堅の一陣を踏みちらし、勢いに乗って水関の守りを出たものであった。そしてすでに数十里を風が木の葉を捲くごとく殺到し、鼓は雲にひびき、鬨の声は、山川をゆるがし、早くも、ここ革新軍の首脳部たる本陣の間近まで迫って来たらしくある。
「味方の二陣は、ついに、突破されました」
「三陣も!」
「残念。中軍もかき乱され、危うく見えます」
刻々の敗報である。
そして、敵の華雄軍は、長い竿の先に孫堅の朱いをさしあげ、罵詈悪口をついて、大河の如くこれへ襲せてくる――という伝令のことばだった。
四
ひきもきらぬ伝令が、みな味方の危機を告げるばかりなので総大将袁紹をはじめ、満堂の諸将軍もさすがに色を失って、
「いかがせん!」と、浮腰になった。
曹操は、さすがに、
「狼狽してもしかたがない。こんな時は、よけい胆気をすえるに限る」
と、侍立の部下をかえりみて、
「酒を持ってこい」と、命じた。
「はっ」
酒杯は、各将軍の卓にも、一ツずつ置かれた。曹操は、杯をもつと、ぐびぐび飲んでいた。
わあっッ……
うわあっ
百雷の鳴るような鬨の声だ。