Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
二
「もうだめだっ」
無念を叫びながら、張譲は、自ら河に飛込んで自殺してしまった。帝と、帝の弟の陳留王とは、河原の草の裡へ抱き合って、しばし近づく兵馬に耳をすましておられた。
二
やがて河を越えて驟雨のように馳け去って行ったのは、河南の中部掾史、閔貢の兵馬であったが、なにも気づかず、またたくまに闇に消え去ってしまった。
「…………」
しゅく、しゅく……と新帝は草むらの中で泣き声をもらした。
皇弟陳留王は、わりあいにしっかりした声で、
「ああ飢餓をお覚えになりましたね。ごもっともです。私も、今朝から水一滴のんでいませんし、馴れない道を、夢中で歩いてきたので、身を起そうとしてもただ身がふるえるばかりです」と、慰めて――「けれど、この河原の草の中で、このまま夜を明かすこともできません。ことに、ひどい夜露、お体にもさわります。――歩けるだけ歩いてみましょう。どこか民家でもあるかもしれません」
「…………」
帝は微かにうなずいた。
二人は、衣の袂と袂とを結び合わせ、「迷わないように」と、闇を歩いた。
茨か、野棗か、とげばかりが脚を刺した。帝も陳留王も生れて初めて、こうした世のあることを知ったので、生きた気もちもなかった。