Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
二
「……どうぞ」
「や。これは」
呂布は、われに返ったように、その杯を持った。――なんたる可憐!
貂蝉は、すぐ退がって、帳の外へ隠れかけた。呂布はまだ、手の杯を、唇にもしない。――彼女がそのまま去るのを残り惜しげに、眼も離たずにいた。酒を干すいとますらない眼であった。
二
「貂蝉。――お待ち」
王允は、彼女を呼びとめて、客の呂布と等分に眺めながら云った。
「こちらにいらっしゃる呂将軍は、わしが日頃、敬愛するお方だし、わが一家の恩人でもある。――おゆるしをうけて、そのままお側におるがよい。充分に、おもてなしをなさい」
「……はい」
貂蝉は、素直に、客のそばに侍した。――けれど、うつ向いてばかりいて、何もいわなかった。
呂布は、初めて、口を開いて、
「ご主人。この麗人は、当家のご息女ですか」
「そうです。女の貂蝉というものです」
「知らなかった。大官のお女に、こんな美しいお方があろうとは」
「まだ、まったく世間を知りませんし、また、家の客へも、めったに出たこともありませんから」
「そんな深窓のお女を、きょうは呂布のために」
「一家の者が、こんなにまで、あなたのご来訪を、歓んでいるということを、お酌み下されば倖せです」