Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
と、叫んでまた、
「はやく助けてくれ」
と何度も悲鳴をくり返した。
そのいやしい言葉を聞くと、張飛の暴を制しかけていた玄徳も、かえって止める意志をさまたげられた。
けれど、彼は、いかに醜汚な人間であろうとも、勅命をうけて下った天子の使いである。玄徳は、叱咤して、
「止めぬかっ張飛」と、彼の手から柳の枝を奪い、その枝をもって張飛の肩を一つ打った。
玄徳に打たれたことは初めてである。さすがの張飛も、はっと顔色を醒まして棒立ちになった。もちろん不平満々たる色をあらわしてではあったが。
玄徳は、柳の幹の縄を解いて、督郵のからだを大地へ下ろしてやった。すると、それまで、是とも非ともいわず黙って見ていた関羽が、つと馳け寄ってきて、
「長兄。お待ちなさい」
「なぜ」
「そんな人間を助けてやったところで、所詮、むだなことです」
「何をいう。わしはこの人間から利を得るために助けようとするのではない。ただ、天子の御名を畏るるのみだ」
「わかっております。しかしそういうお気持も、いったいどこに通じましょうか。前には、身命を賭して、大功を立てておられながら、わずか一県の尉に封ぜられたのみか、今また、督郵のごとき腐敗した中央の吏に、最大の侮辱をうけ、黙っていれば、罪もなき罪におとし入れられようとしているではありませんか」