Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate

Aozora Bunko

すると、戛々と、馬蹄の音が木立の下を踏んでくる。

「誰か?」

どきっとしながらも、何くわぬ顔して、箒の手をうごかしていた。

「おいおい、家の主、なにか喰う物はないか。湯なと一杯恵んでくれい」

声に振向くと、それは馬上の閔貢であった。

崔毅は、彼の馬の鞍に結いつけてある生々しい首級を見て、

「おやすいことです。――ですが豪傑、その首は一体、誰の首です」

閔貢は問われると、

「知らずや、これは十常侍張譲などと共に、久しく廟堂に巣くって、天下の害をなした段珪という男だ」

「えっ、ではあなたはどなたですか」

「河南の掾史閔貢という者だが、昨夜来、帝のお行方が知れないので、ほうぼうお捜し申しておるのだ」

「ああ、では!」

崔毅は、手をあげて、奥のほうへ転んで行った。

閔貢は怪しんで、馬をつなぎ、後から駈けて行った。

「お味方の豪傑が、お迎えにやって来ましたよ」

崔毅の声に、藁の上で眠っていた帝と陳留王は、夢かとばかり狂喜した。そしてなお、閔貢の拝座するすがたを見ると、うれし泣きに抱き合って号泣された。

帝も帝におわさず

王また王に非ず

千乗万騎走るなる

北の草野、夏茫々

――思いあわせればこの夏の初め頃から、洛陽の童女のなかにこんな歌が流行っていた。