Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
独り強くそう思う。
「あの子の将来を見とどけねば……」
ふと彼方を見ると、その劉備の姿が近づいてきた。水を汲んで帰ってきたのである。驢にのって、驢の鞍に小さい桶を結いつけて。
「おお。おっ母さん」
桃園の小道をぬって、劉備は間もなくそこへきた。そして水桶をおろした。
「鶏村の水は、とてもいい水ですね。さだめし、これで茶を煮たらおいしいでしょう」
「ま。ご苦労だったね。鶏村の水のことはよく聞いているけれど、あそこはとても恐い谷間だというじゃないか。後でわたしはそれを心配していたよ」
「なあに、道なんかいくら嶮しくても何でもありませんがね、清水には水番がいまして、なかなかただはくれません。少しばかり金をやってもらって来ました」
「黄金の水、洛陽のお茶、それにお前の孝心。王侯の母に生れてもこんないい思いにはめぐり会えないだろうよ」
「おっ母さん、お茶はどこへ置きましたか」
「そうそう、私だけがいただいてはすまないと思い、ご先祖のお仏壇へ上げておいたが」
「そうですか、盗まれたらたいへんです。すぐ取って参りましょう」
劉備は、家のほうへ馳けて、宝珠を抱くように、茶壺を捧げてきた。