Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Leggi 三国志(五) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.

N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 325.249 caratteri · 653 schermate

Aozora Bunko

「背に腹はかえられません」

孔明は諭すのであった。玄徳の仁愛な心はよく分っているが、そのため、敵の殲滅に会っては、なんの意味もないことになる。

「ここは一時、涙をのんでも、百姓、老幼の足手まといを振り捨て、一刻もはやく江陵へ行き着いて、処置をお急ぎなさらなければ、ついに曹軍の好餌となるしかありますまい」

というのであった。

が――玄徳は依然として、

「自分を慕うこと、あたかも子が親を慕うようなあの領民を、なんで捨てて行かれようぞ。国は人をもって本とすという。いま玄徳は国を亡ったが、その本はなお我にありといえる。――民と共に死ぬなら死ぬばかりである」と云ってきかなかった。

このことばを孔明から伝え聞いて、将士も涙を流し、領民もみな哭いた。

さらばと、――孔明もついに心をきめて、領民たちに相互の扶助と協力の精神を徹底させ、一方、関羽と孫乾に、兵五百を分けて、

「江夏におられる嫡子劉君のところへ急いで、つぶさに戦況を告げ、江陵の城へお出会いあるべしと、この書簡をとどけられよ」と、玄徳のてがみを授けて、援軍の急派をうながした。

さてまた。

曹操はその中軍を進めて、宛城から樊城へ移っていた。