Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Leggi 三国志(五) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.

N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 325.249 caratteri · 653 schermate

Aozora Bunko

功なき関羽

一

――折から山中の雲気は霏々として白い雪をさえまじえて来た。

功なき関羽

一

難路へかかったため、全軍、まったく進退を失い、雪は吹き積もるばかりなので、曹操は焦だって、馬上から叱った。

「どうしたのだ、先鋒の隊は」

前隊の将士は、泣かんばかりな顔を揃えて、雪風の中から答えた。

「ゆうべの大雨に、諸所、崖はくずれ、道は消え失せ、それに至るところ渓川が生じてしまったものですから、馬も渡すことができません」

曹操は、癇癪を起して、

「山に会うては道を拓き、水に遭うては橋を架す。それも戦の一つである。それに対って、戦い難いなどと、泣き面をする士卒があるかっ」

そして、彼自身、下知にかかった。傷兵老兵はみな後陣へ引かせ、屈強な壮士ばかりを前に出して、附近の山林を伐って橋を架け、柴や草を刈って、道を拓き、また泥濘を埋めて行った。

「寒気に怯むな。寒かったら汗の出るまで働け。生命が惜しくば怠るな。怠ける者は、斬るぞ」

剣を抜いて、彼は、土工を督した。泥と戦い、渓流と格闘し、木材と組み合いながら、まるで田圃の水牛みたいになって働く軍卒の中には、このとき飢餓と烈寒のため、斃れ死んだ者がどれほどあったか知れない程であった。