Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
声も醜く、押しつぶされたように荒れていたのは、一日中流行歌をうたっているせいばかりでなく、この女中の生活の荒れでもあった。人間はよかったが品行はわるく、木崎の名を「キジャキ」と発音して、木崎を見る眼がいつも熱く燃えているので、木崎は辟易していた。
おシンはアパートのたれをも好いたが、ことに木崎を好いていたようだった。が、それも相手にする者はいない――ということになっていたが、しかし、おシンはいつも女中部屋のドアをあけはなして、あらわな寝姿を見せながら寝た。そして、酔っぱらった誰かが帰って来て、おシンに近づいて、いたずらしかけても、おシンはただ鼾をとめるだけで、眼はあけようとはせず、翌日はけろりとした顔であった。十九歳だという。
「あら、いないわ。――木崎さアん」
おシンは木崎の部屋の戸をあけたらしい。
「ここだア!」
坂野がどなると、おシンはバタバタとはいって来て、
「あら、また注射。――木崎さん、お電話ア」
「今、手が離せんよ」
注射器のポンプを押しながら、坂野が代って答えた。
「だって、警察からよ」
「警察……?」
なんの用事だろうと、木崎は咄嗟に考えたが、思い当らなかった。