Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
二
しかし、彼女はその服装では、一つだけ失敗していた。彼女の服装が時に滑稽に見えるということに、気がつかなかったのだ。これは重大な手落ちだ。すくなくとも、春隆はそんな貴子の恰好を見て、噴き出したくなっていた。
しかし、春隆という男に、もし取得というものがあれば、いんぎんなエティケットがわずかにそれであろう。
春隆は噴き出す代りに、彼女の時計をほめてやることにした。ダイヤの指輪をほめるには、春隆は余りに侯爵だったし、だいいち、せっかくのショートパンツとワイシャツにダイヤはぶちこわしで、ふとパトロンのある女の虚栄のあわれさであった。――時計は型が風変りだったのだ。
「拝見!」
時間や分秒のほかに、日付や七曜が出て来るその時計を、覗こうとすると、
「見にくいでしょう」
貴子はにじり寄って、ぐっと体を近づけて来た。
「たしかに、見にくいですな」
相槌を打ちながら、見にくいという言葉に「醜い」の意味を、春隆は含ませていた。
二
いきなり貴子から媚態を見せつけられて、さすがに春隆は辟易していた。
このような場合、でれりとやに下るには、春隆は若すぎた。女にかけては凄い方だったが、四十男のいやらしさも冷酷さも、まだ皮膚にはしみついていず、一応はうぶに見えていたから、なるべく自分でもうぶに見せていた。