Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

八

八

占領軍の家族であろう。日射しをよけるための真赤なネッカチーフで、頭を包んだ二人の女が、その女の前でジープを停めて、話し掛けていた。

写真を撮らせてくれと頼んでいるらしい。女は困って、半泣きの顔で、ノーノーと手を振っている。

コバルト色の無地のワンピースが清楚に似合う垢ぬけた容姿は、いかにも占領軍の家族が撮りたくなるくらい、美しかったが、しかし足には切れた草履をはいていた。

図書館や病院で貸してくれるあの冷めし草履だ。その草履のために、写されることをいやがっているのだろうか。

しかし、京吉は、その女がなぜそんな草履をはいているのだろうと、考える余裕もなかった。

いや、眼にもはいらなかった。

「あ、陽子だ!」

と思いがけぬ偶然に足をすくわれていたが、しかし、偶然といえば、その時、陽子が写真をうつされることに気を取られていなかったとしたら、陽子も京吉に気がついていたかも知れない。しかし、偶然は、陽子の視線を京吉から外してしまった。

そして、更に偶然といえば――偶然というものは続きだすと、切りがないものだから――京吉が陽子の傍へ行こうとした途端、

「おい、君!」